2012年2月26日日曜日

「羽月莉音の帝国10」書評とシリーズ全体を振り返って 檻からたまには出ようという話

羽月莉音の帝国10巻の書評を軽く書いておきます。私も最終刊である10巻まで読みました。作者的に狙って書くというよりもノリノリで書いたと推測される恒太を始めするキャラクターたちがユニークで1巻から10巻までずっと引きつけられていました。



このシリーズは、最後に向かうにつれて、スケールがでかくなるという世界観としては最高の物でした。日常系では決して生まれないスケールの大きさでした。

学園や部室といった檻の中で遊ぶのも、また一興ですが過剰な日常要素では飽きられてしまいます。例を挙げるとするなら、生徒会の一存シリーズのマンネリのように。

学園を飛び出して明日の我が身も予想できない旅に出てみませんか。本シリーズはそういう小説です。


ネタバレなしで内容に触れます。

少々、新経済システムについてを端折った気がしますがそれも蛇足だからと作者は考えたからだと思います。「とある飛行士の恋歌」で最後まで全てを描かなかったような効果を狙ったのでしょう。

至道流水先生は、単なる経済物という枠をこのシリーズで確かに超えました。 講談社ラノベ文庫の方の「好敵手オンリーワン」でも、その持ち味を生かしつつ新しい展開に挑戦して欲しいです。正直言って、「好敵手オンリーワン」は今のままでは、より面白くなるとは思えませんから。

このまま、皆の記憶の彼方へとこのシリーズが追いやられていくのはさびしく感じます。アニメや漫画などのメディアミックスはその性質上難しいですが、ゲームやドラマでは経済を肌で感じられるこの作品の良さが伝わるはずです。

そして、第二部を僕らは待ち続けます。いつの日か、莉音たちに再び出会える日を願ってシリーズ完結をお祝いしたいと思います。素敵なシリーズをありがとう。

  

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